まぶたを開けると、ミュラー筋の中にあるミュラー筋機械受容器が伸展され、感じることのできない三叉神経固有感覚が生じます。 まぶたを、開けると、青斑核を介して、前頭前野の中でも、選択的に意思決定・記憶想起・情動のコントールを司る腹内側前頭前野を刺激しています。 これが、私の提案した『まぶたを開けるとことは覚醒反応』の新しい神経経路です。 ものを想い出すとき、上方視して、この経路を利用しているのに気づくと思います。 眠くなると、まぶたを擦ります。これはまぶたの中にあるミュラー筋を刺激して、青斑核を介して腹内側前頭前野を刺激して覚醒しようとしているのです。 従って、成人はだれもが腱膜が瞼板より外れている腱膜性眼瞼下垂症代償期になります。 上眼瞼挙筋は腱膜とミュラー筋を介して瞼板を持ち上げて開瞼していたのですが、腱膜が瞼板より外れると、上眼瞼挙筋とミュラー筋が一体となって収縮するようになります。 腱膜が瞼板より外れているので、まぶたを開けると、強い覚醒が得られる、思春期・壮年期となります。 ミュラー筋を収縮させる交感神経刺激は前立腺の刺激と同じα1Aなので、増殖刺激なのです。 ミュラー筋の増殖された方は、青斑核が刺激され過ぎて、緊張状態が強くなる可能性があります。 角膜は眼球の中で曲率が小さく飛び出しているので、まぶたを裏側が擦ります。 1日に数千回起きるまばたきでも擦ります。 コンタクトレンズをしていて、さらに角膜の上に突出物が乗ると、さらに擦られます。 アトピー、花粉症、アイメイクアップなどの使用でも、まぶたを擦る頻度は増します。 腱膜が外れた次に起きることは、ミュラー筋が薄くなり延長してしまいます。 そうなると、まぶたを開けて青斑核を介して、意思決定・記憶想起・情動のコントールを司る腹内側前頭前野の刺激をするのが困難となります。 この状態が、うつ症状をつくるのかもしれません。 最近の欧米の論文でも、腹内側前頭前野が扁桃体をコントロールできないとうつ症状をつくるのかもしれないと報告されています。 腱膜性眼瞼下垂症の手術は、基本的には外れた腱膜を瞼板に固定して、まぶたを開けられるようにするだけでなく、程よくミュラー筋機械受容器が伸展され、青斑核を介した腹内側前頭前野の刺激を調整できるようにしています。 そうした結果、うつ状態が改善されたと感じる患者さんがおります。 |