しみは5種類にわけられます。それぞれ治療法が異なります。 1.後天性真皮メラノサイトーシス(ADM) 真皮メラノサイトが出現する、 13~20歳以上で出現する一種の遅発性母斑(アザ)です。 頬骨突出部・鼻翼・こめかみ~上眼瞼外側(小斑性)、下眼瞼・鼻根部・前額外側(びまん性)に対称性に出現します。 色は灰色~灰褐色~褐色~濃褐色で、辺縁が不鮮明の斑点が アザなので、ホルモンの変動や、日光暴露でも変化は少ないのです。 表皮の色素沈着は、あざをとろうとこするので、肝斑を合併していることが多いのです。 治療:Qスイッチルビーレーザー+トラネキサム酸内服500mg/1日(照射前~照射後) ク-リングして、局所麻酔して、8~10J/cm2で照射します。 照射部は白く見えますが、10分クーリングします。 軟膏ガーゼでテーピングします。 照射部には痂皮(かさぶた)ができます。 かさぶたがとれた後、サンスクリーン剤を使います。 しみ(あざ)の色は、すぐには消えません。半年かけて薄くなります。 追加のレーザー照射は半年後に行います。 2. 脂漏性角化症(老人斑)SK 長年の紫外線暴露により生じるメラニン顆粒を持った表皮細胞の増殖する良性腫瘍です。日に当たった場所に好発し、最初は平らですが、盛り上がってきます。 治療:炭酸ガスレーザー ク-リングして、局所麻酔して、表皮が剥がれる程度照射します。 照射部は白く見えますが、10分クーリングします。 軟膏ガーゼでテーピングします。 照射部には痂皮(かさぶた)ができます。 かさぶたがとれた後サンスクリーン剤を使います。 3. そばかす 鼻根部を中心に中央優位に左右対称に出現します。 治療:フラッシュライト療法+トラネキサム酸内服500mg/1日(照射前~照射後)、照射後サンスクリーン剤 メラニン色素の濃い表皮を薄く焼きとる治療なので、病変部が焼け、それが1週ほどで脱落します。次回、少し出力を上げてもう少し焼きとる治療です。目立たない程度に薄くなれば良いと考えて下さい。 海水浴に行くほど、日焼けすると、全くもとに戻るので、サンスクリーン剤は必須です。 また、外胚葉由来の虹彩に陽を当てると、同じ外胚葉由来の真皮メラノサイトのメラニン色素合成を促進するので、日焼けするときは、サングラスをして、虹彩に陽を当てないようしてください。 2.肝斑 慢性過刺激(こすりすぎ)によるバリア破壊と表皮損傷による表皮基底層とその上層の慢性炎症性色素沈着症です。 お化粧をする年齢の16歳以上の、頬骨部・前額部・口唇などの擦られやすい部位にほぼ左右対称性に出現します。 辺縁の形態が不自然 治療方法: 1.トラネキサム酸内服500mg~1500mg/1日 2.保存療法 擦らない3.美顔器でのトラネキサム酸、ビタミンCのイオン導入 4.ハイドロキノン外用、ルミキシル外用(メラニン色素の合成阻害) 1.炎症性色素沈着(Post-Inflammatory Hyperpigmetation) 外傷、熱傷、フラッシュライト療法、レーザー治療後の一過性の色素沈着です。 その特徴は、色素はびまん性に広がり、辺縁はすべて不鮮明である。 表皮基底細胞にメラニン増多しています。 顔面で半年、体幹・上肢で1~2年、下肢で3~4年で自然治癒します。 治療方法: 1.トラネキサム酸内服500mg~1500mg/1日 2.保存療法 3.シリコンジェルシート 4.ハイドロキノン、ルミキシル外用
参考文献)1.葛西健一郎、シミの治療、第2版、文光堂、2015 |