先天性眼瞼下垂

正常にまぶたを開けるには、
①上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)が主に働き、腱膜を介して、瞼板を持ち上げています。
②ミュラー筋が交感神経の収縮で3mmまぶたが開きます。
③上直筋の収縮で間接的に2mmまぶたが開きます、
④前頭筋の収縮でまぶたの皮膚を挙上しています。瞼板につながっていないので間接的役割しか果たしていません。


先天性眼瞼下垂症では、
上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)が全くないか、少しある場合もありますが、上方視すると眼球だけ上がって、まぶたが取り残されていまいます。
前頭筋はすごく眉毛やまぶたの皮膚を挙上できるのですが、瞼板につながりがないので、まぶたを開ける役割を果たしていません。


私の行っている手術は、
①腱膜を瞼板より少し外します(元にもどせるように)。
そうすると、ミュラー筋がよく引っ張られようになり、前頭筋が不随意的・反射的(無意識に)によくちぢみ、より眉毛があがるようになります。
これは、大人の腱膜性眼瞼下垂症で眉毛があがってしまう現象で、それを応用しております。
②この動きを瞼板に伝えるように、大腿筋膜を移植して、眉毛の動きと連動して、まぶたが開くようにしています。

挙筋短縮術を受けている方の再手術も、同じ方法をしております。ミュラー筋を切除されている場合、難しいことがあります。

手術は、保険診療で行っています。
片側だと、K219 眼瞼下垂症手術 2筋膜移植法 18,530点なので、3割負担だと55,590円(手術のみ)+αかかります。

参考文献
Matsuo K, Yuzuriha S. Frontalis suspension with fascia lata for severe congenital blepharoptosis using enhanced involuntary reflex contraction of the frontalis muscle. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2009;62:480-7.
Comments