眼瞼痙攣(がんけんけいれん) 正常人は、まぶたを開けるときに、まぶたを閉じる筋肉は収縮していないので、まぶたが閉じてしまう眼瞼痙攣にはなりません。 腱膜が瞼板より外れた腱膜性眼瞼下垂症・代償期になり、歯をかみしめるくせなどでミュラー筋が肥大していると、まぶたを開けるとき、ミュラー筋機械受容器(ミュラー筋の中にあるセンサー)が強く伸ばされ、青斑核→扁桃体→帯状皮質→顔面神経を介して、しかめ面筋が勝手に収縮してしまうのが、眼瞼痙攣です。これは私が発見し、報告した神経経路です。 青斑核(覚醒の中枢)を刺激しようと、あくびで外眼筋(目の周りの筋肉)を引いて、ュラー筋機械受容器を強く伸ばすと、眼瞼痙攣が起き、まぶたを開いてられなくなります。 眼瞼痙攣は、ギューっと眉間にタテジワを入れたしかめ面になっている強直性眼瞼痙攣と、パタパタと大きな瞬きように閉じてしまう間代性眼瞼痙攣があります。 症状: いつも眉間に力が入って、顔が疲れます。 まぶたを閉じていた方が楽です。 パソコン・車の運転・ね不足・疲労で悪化します。 まぶしい、ドライアイ、不眠などです。 診断方法: しかめ面筋が肥大していて、痙攣する場所をつまむと圧痛があります。 強い上方視を続けていると、あるいは、強くまぶたを数秒閉じた後に、ミュラー筋機械受容器の強い伸展による眼瞼痙攣が誘発されます。 まぶたを軽く閉じていると、眉毛の位置が下がってしまいます。眼瞼痙攣により、眉毛を骨に固定している靭帯が伸びてしまって眉毛下垂になっているのです。 治療方法: ①ボトックスをしかめ面筋に注射します。 ②まぶたの手術で、外れた腱膜を固定して、ミュラー筋を瞼板より外して、ミュラー筋機械受容器の感度を下げます。 これは世界ではじめて、私が報告した方法です。 ③眉毛挙上術を行います。痙攣の程度の強い場合、しかめ面筋の減量を行います。 治療はすべて、保険診療で行われます。 ①~③のどの治療が行うかは、よく相談して行います。 参考文献 1)Matsuo K, Ban R,Hama Y, Yuzuriha S. Eyelid opening with trigeminal proprioceptive activation regulates a brainstem arousal mechanism. PLoS One. 2015;10:e0134659.2)Matsuo K, Ban R, Ban M. Desensitization of the mechanoreceptors in Müller's muscle reduces the increased reflex contraction of the orbicularis oculi slow-twitch fibers in blepharospasm. Eplasty. 2014;14:e33. 3)Matsuo K, Ban R, Ban M, Yuzuriha S. Trigeminal proprioception evoked by strong stretching of the mechanoreceptors in Müller's muscle induces reflex contraction of the orbital orbicularis oculi slow-twitch muscle fibers. Eplasty. 2014;14:e30. |